合同会社ふくふく
仕事のこと

盤を挟んで生まれた縁が、世界大会のウェブサイトになった

きっかけは、チェコの世界選手権でした

2025年、チェコで開かれた連珠の世界選手権に参加してきました。

連珠の世界選手権は、ただ一つの大会ではありません。連珠とGomoku(五目並べ)の2種類があり、それぞれに世界一を決めるトーナメントと、誰でも挑戦できるオープン大会があります。私はそのうち、Gomokuのオープン大会と、連珠のオープン大会に出場しました。

会場には、世界中からプレイヤーが集まります。その中に、アルメニアから来たポゴシャンさん一家がいました。お父さんと、二人の息子さん——親子三人で世界選手権に参加していたのです。それまでアルメニアの選手と話したことがなかった私は、せっかくの機会だからと、思い切って話しかけてみました。

誕生日プレゼントになってしまった、私の反則負け

ここで、少し恥ずかしい話をさせてください。

Gomokuのオープン大会で、私はポゴシャンのお父さんと対戦することになりました。しかも、その日は彼の誕生日だったのです。

Gomoku(五目並べ)には、連珠のような禁じ手はありません。ただ、大会では「Swap2」という特別なルールが使われます。これは、先手が有利になりすぎないように、序盤の石の置き方を工夫してお互いを対等にするためのルールです。私はこのSwap2に慣れていませんでした。案の定、その手順を間違えてしまったのです。

内心では、「うっかりだから、許してもう一度やらせてくれるかな」と思っていました。ところが相手は、その反則をきっちり指摘し、私を反則負けに。思わず苦笑いです。オープン大会なのに、そこまで勝ちにこだわるのか、と少し驚きました。

でも、それでよかったのです。私はGomokuが専門ではないし、どうしても勝ちたいという気持ちもありません。ただ、海の向こうのプレイヤーと盤を挟んで交流できれば、それで十分でした。「いい誕生日プレゼントをあげてしまったな」——そんな気持ちで、私はその一局を終えました。

連珠でリベンジ、そして生まれたつながり

物語には続きがあります。

連珠のオープン大会で、なんと私はまたしてもポゴシャンのお父さんと当たることになったのです。今度は私の土俵、連珠です。レーティングの差も大きく、こちらは難なく勝利を収めることができました。誕生日プレゼントの、ささやかなお返しです。

対局の合間の時間には、長男のほうともたくさん話しました。彼は「どうすれば連珠が強くなれるのか」にとても興味を持っていて、上級者向けの本を探している様子でした。遠いアルメニアで、真剣に連珠と向き合っている人がいる——その熱意に、私は素直に胸を打たれました。

勝った負けたを超えて、盤を挟んだ人と人として、確かなつながりが生まれた。これが、すべての始まりでした。

「やってみたい」を、こちらから打診してみた

実は私には、前々から思っていたことがありました。

連珠の世界選手権のウェブサイトは、どこか素人っぽさの残るものでした。連珠を愛する一人として、そして仕事としてウェブサイトを作っている者として、「自分の力をここで活かせたら」という気持ちがずっとあったのです。

ちょうどその頃、私はAIを活用したウェブサイト制作のプランを始めたばかりでした。新しい作り方を、本気の現場で試してみたい。これ以上ない機会だと思いました。

そこで、ポゴシャンに打診してみたのです。「世界選手権のサイト、私に作らせてもらえないか」と。

返ってきた答えは——「いいね! やろうよ!」。

こうして、連珠のチーム世界選手権の公式サイトを、私が担当させてもらえることになりました。盤の上で生まれた縁が、海を越えて一つの仕事になった瞬間でした。

作って終わりではなく、一緒に育てていく

これからポゴシャンの長男に、サイトの更新のしかたをレクチャーしていくつもりです。彼自身の手で、アルメニアから、世界選手権の情報を発信できるように。

特に意識しているのが、AI(Claude)と連携した更新です。前回の大会を見ていて、開催中のスタッフは本当に忙しそうでした。対局の進行に結果の集計、参加者への対応——みんなてんやわんやです。そんな中で、ウェブサイトの更新まで手の込んだ作業だったら、とても回りません。だからこそ、原稿を渡せばAIが下書きを整えてくれるような、できるだけ簡単に更新できる環境を用意したい。忙しい現場でも無理なく情報を発信し続けられること。それが、世界大会のサイトには何より大切だと思うのです。

ウェブサイトは、作ることがゴールではないと、私は思っています。作った人がいなくなっても回り続ける仕組みを残すこと、使う人が自分の言葉で発信できるようにすること。それこそが、信頼してもらえる仕事なのではないでしょうか。

一局の対局から、こんな広がりが生まれるとは思ってもみませんでした。あなたの目の前にある小さな出会いも、もしかしたら、まだ見ぬ大きな仕事の入り口なのかもしれません。