「50商品以上、ひとつずつ直すのは大変...」
三重県のクッキー店「いきものクッキーアート kurimaro collection」さんから相談を受けたのは、ECサイトの商品説明文についてでした。
賞味期限、主な原材料、アレルギー情報、保存方法。これらの記述は全商品に共通して記載する必要があります。内容が変わるたびに、50商品以上をひとつずつ手作業で更新するのは大変です。
ただし、商品説明はすべて同じではありません。冒頭には「この商品ならでは」の魅力を伝える文章が必要ですし、3枚選べるセットと12枚選べるセットでは、選択案内の文も変わります。単純な置換では対応できない部分があります。
そこで、Color Me ShopとClaudeをAPI連携し、定型部分は自動更新しながら、商品固有の表現はAIが文脈を読んで生成する仕組みを作ることにしました。
スタッフがAIと相談しながら作業する
技術的なAPI連携の設計と実装は私が担当しました。ただ、この仕事で大切にしたのは「今後、私がいなくても回せること」です。
実際の作業はスタッフの方にClaudeと相談しながら進めてもらいました。商品の特徴を伝え、Claudeに冒頭の魅力文を書いてもらい、定型部分と組み合わせて完成させました。
作業を終えたスタッフの方は、こう言っていました。「作業がとても速くなって感激しました」と。
スタッフの方がひとりでAIと相談しながら作業を進めていたところ、「なぜか指示通りに動いてくれない」と連絡がありました。聞いてみると、同じセッションで長時間にわたって商品説明の添削を続けていたようです。Claudeはひとつのセッションが長くなるほど、文脈を正確に保つことが難しくなります。「こまめにセッションを新しくするといいですよ」とアドバイスしたところ、あっさり解決しました。AIとうまく付き合うための、小さな知恵です。
安全に使うための設計
AIを使って商品データを一括操作するのは、使い方を誤るとデータを壊すリスクがあります。そのため、作業前に必ずバックアップを取るよう、Claudeへの指示ファイル(CLAUDE.md)に明記しておきました。
また、商品データの登録前には必ずスタッフが内容を確認し、問題がなければ登録するという手順も設けました。AIが生成した内容をそのまま反映するのではなく、人間が最終チェックする仕組みです。
AIに「自由にやってください」と任せるのではなく、安全な動作のための枠組みを人間が設計しておく。これがAIを実務で使ううえで欠かせない考え方だと思っています。
おまけ:サイトのUX問題もついでに直した
API連携の範囲は当初「商品データのみ」としていました。スコープを絞ることで、余計な操作ミスを防ぐためです。
ところが、作業を進めるなかでサイトのテンプレートにも課題が見つかりました。商品説明の改行が閲覧画面に反映されない(CSSが原因)、商品ページの上部にカテゴリ一覧が表示されていて、商品説明より先に目に入ってしまう——という2点です。
テンプレートの編集権限はAPIスコープに含めていなかったため、Claude in Chrome(ブラウザ操作のAI)を使い、管理画面から直接修正しました。CSSを1行変えて改行を有効にし、カテゴリ一覧を商品説明の下に移動する。地味な変更ですが、訪問者の体験は確実に改善します。
AIは「代わりにやるもの」ではなく「一緒にやるもの」
今回の仕事を振り返ると、AIが単独で作業を完了したわけではありません。スタッフの方がAIと対話しながら、一つひとつの商品に向き合って完成させました。
私の役割は、その協働がうまくいく「仕組み」を作ることでした。API連携、安全設計、スタッフへのアドバイス——これらがそろって初めて、AIは実務の力になります。
ECサイトの商品説明更新に限らず、「繰り返しが多くて手間のかかる作業」にはAI活用の余地があります。どんな業務に使えそうか、ぜひ一度考えてみてください。
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いきものクッキーアート kurimaro collection について
かわいいクッキーを通じて、様々ないきもののことを知ることができるお店です。
三重県桑名市を拠点に、生物多様性をテーマにしたクッキーを製作・販売。1,000種類以上のいきものをモチーフにしたアイシングクッキーはすべてオリジナルデザインで、「生きものたちの今を知ってほしい」という想いから生まれています。卵不使用で、低温でじっくり焼き上げるこだわりの製法です。
いきものクッキーアート kurimaro collection